魔法のマッチ ~LMG あずさ・美希・菜緒 Edit~

さて、改めて「魔法のマッチ ~LMG あずさ・美希・菜緒 Edit~」について。

正直、出来たものを見ると「星井姉妹のrelations」のセルフ二番煎じ な感じも強いのですが、この動画を作るに際して単純に「2が出たから『relations』をアイマス2でもやるか」という話だったとか、 あるいはただ菜緒さんへの愛を持って真っ直ぐに突き進んだかというとそうでもなかったりします。 今回はそんなお話(長文)。

(若干の2のネタバレを含む可能性があるのでこの先閲覧注意です)


以前の作品の時にも何度か書きましたが、今回の作品でも「菜緒さんをステージに立たせる事自体に迷い」がありました。

菜緒さんの持つ可能性というのはアイドルではなく、公式には姿形も声もない事だと思っています。
それに反して菜緒さんの歌うPVを作り、公式には存在しない菜緒像をつくり上げる。
この点に関しては過去の菜緒さんがらみの作品でも悩むところでしたし、 今回も例外ではありませんでした。

さらにアイマス2においては美希にお姉ちゃんがいる事こそ言及されたものの名前すら出てこないようです。 (もしかしたら見れていないコミュで……という可能性もありますが)
「2は無印とはパラレルの世界観」と明言されていること、 過去のアケマスと箱○版における亜美真美の姉妹逆転やたるき亭の名前変遷etc.といった事も踏まえると、 そもそも2における美希のお姉ちゃんがDカップであることはおろか「菜緒」であるという保証すらないわけです。
13人のアイドル達については当然2の世界に姿形含めて(プロデュースの可/不可というのはあるにせよ)確実に存在し、 むしろ「パラレル」という注釈によって無印と2との関係性を断ち切る事により「2におけるアイドル」として存在できる部分もあるのに対して、 菜緒さんは「2は無印とはパラレルの世界観」という原則論をぶち壊さないと2の世界に立つ根拠が現状ない とも言えるのですから、さらに話が難しくなります。
だから正直な話、当初は技術的な面の問題もあってアイマス2でこの形式の菜緒さんPVをするつもりはありませんでした。

過去の菜緒さんがらみのPVの時はそこに折り合いをつけるためには情熱だけではなく、 「relations」では「リハーサル」、「Go!Go!Train」では「ウソm@s」といった 大義名分に近い理由が必要でした。
そして今回の作品にとってのそれはなんだったかというと「Little Match Girl」という曲でした。

本当なら見ることのない幻を見せる「魔法のマッチ」というキーワード。
それは、単なる改変グラや菜緒さんをステージに立たせるだけではなく、 無印と2を時系列すら与えずごっちゃ混ぜにした世界観すら可能にする最強の言葉だったのです。
「僕と契約して魔法少女になってよ!」
は伊達ではありません(笑)

それだけではなく、
「アイドルへの憧れ」を連想させる歌詞。
技術的な面で言えば、菜緒さんへの改変に適した春香の歌い方。
そして、あずささんと菜緒さんという二人の大人の女性に合う「大人っぽい雰囲気」。
そういった作品のために必要な各種条件が見事なまでにこの曲に詰まってました。 「Little Match Girl」なしに今回の作品はなかったといっても過言ではありません。

次にじゃあこの曲と菜緒さん使って何を表現するの?という話ですが、 その為にまずは何故あずささんかというお話。

まず単純に2において美希にお姉ちゃんがいる事を言及されるコミュに登場し、 「765プロにおける美希のお姉ちゃん」に位置づけられるのがあずささんだったからです。

そこを踏まえて、あずささんと菜緒さんという関係を考えると、 年齢が非常に近い成人であると言う共通点があります。
あずささんにとって小鳥さんより年が近く、友美さんよりアイドルの世界との距離の近い菜緒さんという存在は ちょっと面白い可能性があるんじゃないかと。
そして上記コミュであずささんが「美希にお姉ちゃんがいる」という事実を知る事から、 あずささんと菜緒さんとの間に直接的な関係を持つ可能性も生まれます。(菜緒さんはおそらく美希からあずささんの話を聞いているだろうと想像できます)
これは菜緒さんに美希以外のアイドルとの接点を持たせる上において貴重なチャンスとも言えるでしょう。
また「プライベートの世界のお姉ちゃん」と「アイドルの世界のお姉ちゃん」を対比させる事は、 菜緒さんという非アイドルのキャラを通す事でアイドルという世界を浮かび上がらせるという「relations」以来のテーマにも繋がります。

つまり、2のあずささんと美希の関係を用いて2における菜緒さん像を構築する試みであると同時に、 菜緒さんというキャラを用いることで、2のあずささんの輪郭を浮かび上がらせるという試み。 これはダンス部分に紛れて目立たないですがこの動画の骨子だったりします。
また、PV上は菜緒さんがセンターにも関わらずタイトル上はあずささんが先頭に来ることの意味だったりもします。

そして茶髪ショートの美希は、菜緒さんとあずささんの接点としての役割と同時に以前からやりたかった
「美希が茶髪ショートってのを思いついたのは菜緒お姉ちゃんへの憧れから」
っていう以前ここにも書いた脳内設定を表現するためのもの。
「relations」等では絵面の問題や、菜緒が美希と別人である事を強調するために美希は金髪でしたが、 2で茶髪美希がなくなった事を考えると、今回の「魔法」はこれをやるラストチャンスだなと。

で、菜緒と美希が改変であずささんだけ改変じゃないのは不公平だなと、あずささんもロングヘア化。
もっともここについても2素材使いながら、あずさも美希もわざわざ無印髪型にする事に罪悪感的なあるいはもったいなさ的な迷いが無かったわけではないんですが、 上記の通り、あくまで眠らせてた脳内設定の表現と3人公平という理由で通しました。
あと、もともと「relations」での改変技術を他のアイドル達にも活かせないかってのは思っていましたしね。 不思議と「アイマス2菜緒マダー?」って言われることはあっても、「他のアイドルの改変マダー?」というのは誰にも言われたことなかったですけど。
あとはまあ赤ペンPやイマジンPが頭によぎった部分もあったりなかったり。

さて、こんな感じで方向性は固まりましたが、これを具体的な文章に仕上げるとなるとまた一苦労です。 正直、ひたすらやっていくだけの改変より、文章の方が難産。
無印設定と2設定をごちゃまぜにするって段階で、細かい設定については目を瞑って (ある種の架空戦記やノベマス的に)強引に押し切る事もやむなしとは考えていたんですが、 それでも難しいのがあずささん。しかも相手は菜緒さんと来たものです。 元々の文章力の無さも手伝って、文章が上手く回らないことったらありゃしない。

そこで助けを求めた先がアイマスのSS書きである小六さん
GWに関西に行った際に小六さんと飲みにいったわけなんですが、 小六さんと私は同じ 菜緒推しの春香派 であるせいか、菜緒さんの人物像の捉え方にすごい近い物があって意気投合。
それなら……ということでプロットを見ていただいて修正入れてもらったり、 アイディア出してもらったりと非常に助けていただきました。
ご本人の要望で投稿者コメには記載しませんでしたが、 今回の動画の影の立役者と言えると思います。本当に感謝。

今回の動画では、尺の関係であずささん-美希-菜緒さんという関係における、 菜緒さんの心境だったりといった部分にはあまり触れられませんでしたが、 小六さんとの会話ではそこら辺もお話出来たりしたので、 もしかするとまた別の所で活かして出てくるかも(チラっ

で、実際の改変ですが、こちらは情熱やら執念やらというより いかにしてサボるか ばっか考えてました(苦笑。
もちろん途中で挫折したり飽きては意味が無いというのもありましたが、 それ以上に「見えない恐怖」から逃げきらなきゃいけなかった。

それはアニメで菜緒さんに関する前提が変わる可能性が大きくはないにせよ0ではないこと。
アニメを抜きにしても今後のDLCの展開でやってる事が吹っ飛ぶ可能性が0ではない事。
nukiM@sの進化などで2の効率的な改変が当たり前になる前にやってしまいたかった事。
あずさ誕生祭で2グラあずささんロングヘアがかぶる気がした事。

そういったもろもろのリスクを検討した結果、 設定したリミットが「6月の東京ライブ前」。
プロットや仮組み済ませて改変作業に入れたのは4月中旬でしたから約2ヶ月。 期間で言えば「relations」の制作期間より短いくらいの期間。
正直、改変の物量よりこの期間的なプレッシャーがきつかった気がします。(そして目と肩がきつかった(苦笑))
ただ逆に言えば、今のタイミングだからできた作品とも。

そんなわけで、あの手この手で手間を軽減し、
(この辺の技術的な解説は今回は省略。 リクエストがあればやろうとは思いますが知りたいって人いるのかしらん)
なんとかほぼ予定通りに完成しました。

(2011/07/30追記:技術解説エントリ書きました→「魔法のマッチ~LMG あずさ・美希・菜緒 Edit~ 技術解説編」)

おかげさまで、びっくりするくらいの反応を戴いているようで。
特にロングヘアあずささんへの反応は予想以上でした(笑)。
改めてご視聴いただいた皆様に御礼申し上げると共に、 このだらだらと長い長文を最後まで読んでくださった皆様に篤く御礼申し上げます。

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