魔法のマッチ~LMG あずさ・美希・菜緒 Edit~ 技術解説編
今更ではありますが、約1名から要望があったので魔法のマッチの技術解説編です。 といっても、 以前に技術解説動画も上げている菜緒リレと基本は一緒で、 1フレームずつ手描きで改変したよ! って言えば終わっちゃう話なのですが、 せっかくエントリ起こすわけなので、 役に立つかは別としてもう少し掘り下げて書くことにしたいと思います。
技術解説とは別の制作の経緯的なお話はこちらのエントリを→「魔法のマッチ~LMG あずさ・美希・菜緒 Edit~」)
その1:まずはボーカルの話
菜緒さんの歌声はコメでも指摘されていますが、relationsの時同様に
春香のボーカルを声質下げて使ってます。
声質下げそのものはソフトで簡単にできるので、
むしろそのためのアカペラ音源作る方がめんどくさいという。
(単なるピッチ下げではないのですが自分でもよくわかってないので略)
後は一部で好評の「素人くささ」をより出すために伸ばすところにビブラートかけて音程揺らしてます。
ちなみにコメで「ピッチ下げると中村先生っぽい」と書かれていますが、 そもそもrelationsの時に 星井菜緒(CV:歌田音) を目指して春香のボーカルをベースにした経緯があるので、 中村先生っぽく聴こえるのはある意味狙い通りですw。
その2:映像編集の全体の流れ
まず、フレームレートですが今回は10fps。
菜緒リレの時は8fpsだったので1ランクアップ。
でも、LMGのダンスはそれ以上に激しかった。
で、10fpsに落とした素材でエディテッドPVとして組んでから1フレームずつ改変開始。 キャラの顔が映るシーンはもちろんの事、一見すると顔が写ってないようなシーンでも、 ロングの髪の下端が見えちゃうようなシーンでは美希の金髪消したり、 あずささんのロングヘア足したりする必要が出てきます。
で、そういった手間の大小ひっくるめてシーンごとの修正フレーム数をgoogleドキュメントで管理してたもののキャプチャがこちら。
ちなみに別シートの進捗管理表によると改変作業の開始が4/10で終了が6/6なので、 2ヶ月弱で751枚修正した事になります。こんなハイペースは二度とやりたくない(汗
改変作業に使ったのは今回はPainter。エアブラシのボケ具合がいい感じで馴染ませやすいんですよね。 ちなみにGo!Go!Trainでは、服まで改変したのでパス機能(ベクタペン)がスプラインで使いやすいSAIを使っています。 Painterにもパス機能(シェイプ)はあるんだけどベジェで高機能すぎてかえってめんどくさいという。
では次にいよいよ本題のキャラ別の改変のポイントを。
その3:あずささんをロングヘアに
あずささんのロングヘア化は、
あずささんの髪の色に合わせて色調補正した千早の髪をくっつける事で実現しています。
つなぎ目の所と髪の下端の部分、
あずささんと千早の体格差からずれが発生する腕・腋・腰周り、
そういった所は手描きで補完します。
若干、髪の色を合わせきれていないのはご愛嬌ということで(汗)。
ロングヘアーは動きが難しいだけに何も考えなくても実機準拠になるのはありがたいですね。
ちなみにあずささんの改変は今回の3人の中では一番楽で、 実際、美希の1/2~1/3くらいの時間で進みました。 時間に追われつつ改変作業をすすめる中で本当に あずささんパートは癒し でした。
その4:美希を茶髪ショートに
まず、元の金髪ロングをAviUtlでざっくりと茶髪ロングに。
特に説明するほどの技術でもない気もしますが、
一応イメージとしてはこんな感じ。
特に今回使ったライブハウスは照明がころころ変わる事もあり、
AviUtlだけではきれいに茶髪化するのは難しいですが、
細かいところ(毛先や髪飾りの金の部分、背景とか)はとりあえず気にかけずに、
後のフレーム単位でのショート化修正の時についでに手修正します。
Painter11はマジックワンドがイマイチなソフトなので、
こんな感じで大雑把にでも前もってまとめてやっといた方が楽できます。
あと、茶髪でも無印より若干落ち着いた暗めな色になっているのはステージの暗さに合わせたのもありますが、基本自分の趣味です(苦笑)。
で、肝心のショート化。
ショートの髪型はL4Uの衣装選択画面の360度ビューを要所要所で参考にトレスしつつも
頭部の髪型の違いや髪揺れやらもあるので、基本手描き。
fpsが荒く動きも激しいこともあってパスも使ってません。
揺れ少なめでも違和感のないショートヘアである上に、
ほとんどが影になるので割とてきとーに描いてもそれなりに見られます。
あと、耳に関しては亜美を切りだして使う事もあります。
しかし、美希のめんどくさいのはそこだけではなく、 とにかく消さなきゃいけない髪が多すぎる ことにつきます。例えばこのカット。
このカットの元はというと
このカットは髪揺れで特にすごくなってますが、
身体の後ろはもちろん前にも髪がかかるのが美希。
これを全部消さなければいけません。
で、どうするかというと他のキャラで撮った同一フレームの素材を使います。
おおざっぱですが、イメージ的にはこんな感じ。
つまり新しい髪以外の部分はほとんど他のキャラの画から引っ張ってきています。
いかに「描かない」かが違和感と手間を減らすポイント。
ちなみに亜美と真美はともかくなぜ千早かというと美希と身長が近いから。
背景との位置関係や首~肩~腕まわりのサイズが近くなるのです。
カットによっては同じく身長の近い真を使っている場合もあります。
今ならビビットビキニのポニテ美希を使うと背景補完が楽になりそうですね。
その5:菜緒お姉ちゃん
最後は本作のセンター、菜緒さんです。
基本的には美希と同じ茶髪ショート化ですが、
大きく違う点が2つあります。
1つはベース。
菜緒さんについてはベースは春香になります。
なぜ春香かというと
美希より小さいDカップを再現するため
に他なりません。
なので、合成イメージとしてはこんな感じに。
茶髪ショート美希の場合と比べると、美希の頭部を抜く必要が出てきます。 ただし、春香自身の髪量の少なさに加え亜美と真美が春香と同身長なので髪消しは楽ですし、 髪型も茶髪ショート美希よりシンプルで描きやすいので、 トータルでは美希よりちょっぴり楽な印象があります。
2の美希は身長が伸びたので、結果的に今回の菜緒さんは美希より背が低くなってます。
ただ、公式設定の美脚を活かすためにも美希と同等またはそれ以上の背丈にしたかった気も。
でもあずささんや貴音では胸が大きすぎ、千早や真では小さすぎるんですよねぇ。
春香さんのボディーはやはりベストバランス。
しかしまあ顔も身長もスリーサイズも設定ないのにカップだけ公式設定がある菜緒さんって……。
で、上記の合成をした結果が出来上がったのがこちら。
これはこれでアリですがまだ美希っぽいし (背景暗めだったりトリミングで後ろ髪が判別しにくい場合に茶髪ショート美希と区別がつかないのは、茶髪ショート美希と共演する今回は特につらい所)、 何より大人っぽさと素人っぽさが足りません。 というわけで目を下図のようにいじります。
星井姉妹のrelationsやGo!Go!Trainでは目の位置の移動はしてなかったのですが、
アイマス2の美希は年齢のUPとは逆に無印より幼さが残る印象で、
実際Go!Go!Trainのアイマス2ベースの菜緒はちょっと幼くなってしまっていたので、
今回はだいたいUPカメラで3ピクセル、MIDで2ピクセル、LONGで1ピクセル上に上げています。
菜緒さんと同世代のあずささんはこれよりもっと目の位置が高い&鼻や口の位置も高いのですが、
横向いた時の改変の手間や前髪や眉とのマッチングから、目を少し上げる程度にとどめています。
それでも同じタレ目でもあずささんより目を細くした事もあり、それなりにお姉さんぽくなった気がします。
で、基本的にはこれで菜緒さんは完成なのですが、2シーン程さらに追加があります。
まずはここ。
「主人公(ヒロイン)は私(あたし)」のウィンク。
春香だけがウィンクするこのシーン。
菜緒さんもウィンクするので、これで菜緒さんの目は春香さんベースだと思われた方もいるのではないでしょうか。
しかし、前述の通り菜緒さんの顔は目も含めて美希です。じゃあ、どうしたか?
手描きでウィンクさせてます。アホか俺。
だって仮組みで春香のずっと見てたおかげで、ないと物足りないんだもんw。
そして最後、春香のLMGで公式が一番いい仕事したな!って自分が思っているのが「私の眠りにキスして」ってシーン。
ここもさっきのウィンク同様春香のみ流し目を使います。
春香の歌い方も合わせてここの色っぽさって言ったらもう最高。
……というわけでここの菜緒さんも春香同様の流し目に改変してしまいます。
たぶん、ほとんどの人が気がつかない 今回最大の俺得改変 だと思います。てかこれを書きたいがためにこのエントリを(ぉぃ。
そんなわけで長々と解説してしまいましたが、いかがだったでしょうか。 基本力技で正直参考にもならないと思うのですが、 馬鹿やってるなー と思っていただければまあ意義はあるんではないでしょうか。
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