アイマスDSのステージを撮る

おかげさまで「涼と涼のDazzling World~G&B Edit~」 はなかなPの作品としては好評な様子。その中、NRRRでぎょPがDSステージの画質について言及されていたので、その辺についてちょっと解説。

なかなPのアイマスDS&アイマス2コラボのニコマスPV2作品での アイマスDSのステージ映像はDSの液晶画面をカメラで動画撮影する「画面撮影」によって行っています。 この先はそんな画面撮影のなかなP的な手順やコツなんぞを解説していこうと思います。

まず自分が使用しているDSはDSi。 Wikipedia先生によればDSiではインターレスの縞模様が見えなくなっているとの事なので、DSの中でも画面撮影には向いている機種といえるでしょう。 DSiLLはさらに向いてそうですが、3DSはどうなんだろ……。

1.何はともあれ動画の撮れないと-カメラと動画モード

画面撮影ですのでとにかく動画が撮れるものが必要です。
後述のマクロ性能や動画編集の工夫次第では640×480でも割となんとかなるはずですが、 HD動画の撮れるカメラがあればなおのこと良いでしょう。 わりと冗談抜きに DS画質もHDで撮れば立派なHD素材 です。 「涼と涼のDazzling World」では一部に1080p撮影の素材(一部のLONGカメラ)も使っていますが、 Xbox360のアイマス2の字幕付き720pに慣れていると1080p字幕カット済素材の自由度の高さはちょっと感動できます。

ちなみになかなPの所有するHD動画が撮れる機材と動画撮影能力は以下の通り。
・Canon EOS 7D(1080p 30fps、720p 60fps)
・Canon IXY Digital 220IS(720p 30fps)
・Xperia pro(720p 30fps)

2.実は寄れないと始まらない-マクロ性能

出来るだけ高画質で撮るならDSの画面をフレームいっぱいに撮りたい。 最初から構図が決まってるなら、さらに拡大して撮る事も可能。 実際、自分の2作は歌詞外しているので最初から歌詞映らないくらいのフレーミングで撮影しています。

意外と面倒なのがここで、実はDS画面を拡大しようとすると、 1番の条件を満たしたカメラでも色々制約が出てきます。

基本的には近寄って撮ることになりますが、そこまで近づけないカメラやレンズも少なからずあるので注意。 コンパクトデジカメは割と近寄れる機種が多いのでまだいいですが、 デジタル一眼のキットレンズは接写の効かないものが多いので注意が必要です。

幸いうちの一眼用の標準ズームレンズは近寄れるので問題はないのですが。 一眼の場合、使うDSにもよりますが、 センササイズがAPS-Cサイズだと1:3、フルサイズで1:2程度の最大倍率はあった方が良さそうな計算です。 残念ながらそこまで寄れない場合は、デジタル一眼であれば接写リングがお手軽で画質劣化が少ないでしょう。 それが無理ならレンズ前につけるクローズアップレンズを併用するのも手。 まあ、マクロレンズ買えれば一番いいんですが……。

また「大きく撮る」と考えると望遠側にズームして撮りたくなりますが、 カメラによっては広角側にズームした方が近寄れるので結果的に大きく撮れるなんてパターンもあります。 (うちのIXY Digital 220ISはこのパターン)

Xperia proに至っては動画モードだと徐々に近づけるなど工夫しないと近距離にピントが合わないという体たらく。

まあ上で上げたうちの3つの機材は癖はともかくDSの画面を撮るに必要なマクロ性能は備えています。

3.隠れた落とし穴-明るさ調整機能の有無

ドームステージ等背景が暗いシーンやステージを撮る場合、 そのままではキャラの肌色が白く飛んでしまう事が多々あります。 こういう場合、明るさ(露出)を下げてやるといいのですが、 安いカメラにありがちな完全おまかせ志向のカメラとかiPhone4Sの標準の動画撮影機能等この調節が出来ない事もあります。

残念ながら、そういう場合はあきらめて背景の明るいステージ等を選んでくださいという話になってしまいます。 あとは画面いっぱいに大きく撮ることを諦めた上で必要なエリア以外を白い紙を覆うとかいう荒業も存在しますが、 効果はカメラの露出制御依存な上に後述の映り込み対策がめんどくさくなるので……。

というわけで、各種条件を比較した結果、 「一秒先の現実」では、EOS 7DにSIGMA 17-70mmF2.8-4.5 DC OS MACRO、 「涼と涼のDazzling World」ではEOS 7Dに上記のレンズの後継機のSIGMA 17-70mmF2.8-4 DC OS MACRO HSM を装着したものをそれぞれ使用して撮影しました。

理由は1080pや720p 60fpsが使えるのと、ワーキングディスタンスがそれなりに確保出来てセッティングがしやすいこと。 もっとも、「涼と涼のDazzling World」では速度いじってないので60fpsの必要はかけらもありませんし、 元のDS画質が画質だけに1080pも対して威力があるわけでもありません。 そういう意味ではXperiaやIXYでも十分な画質はあります。 (ここについては後述)

4.物理的セッティング

使用する機材を決定できたところでセッティングです。
機材のマクロ性能に応じて機材とDSをセッティングすることになりますが、 出来れば手持ちではなくきちんと固定して撮影したいところ。 撮影距離に応じた三脚があれば楽でしょう。

「一秒先の現実」は実は三脚なしで撮りましたがさすがに厳しかったので「涼と涼のDazzling World」の時には 8段ミニ三脚を使用。ローアングル機能付なのが地味に便利。 ただ、本来EOS 7D+17-70mmの重量支えられるクラスではないので、下にDS置いて下向きに撮影しています。

ちなみに(特に電動ズーム機の場合)フレーミングの微調整は、ズームや三脚の雲台調整だけではなく、 カメラ・三脚やDS自体を動かしたり、その下に本やCDケース等を敷いたりといった方法を併用するのもポイント。

あと、画面への映り込み防止は夜間に部屋の電気を消して撮影するのが一番てっとり早いのですが、 それが出来ない場合には映り込む範囲を黒い紙やらタオルやらで覆ってしまうのが良いでしょう。

5.撮影

ここまでくれば撮影あるのみ。
まあ細かいカメラやDSの画面輝度等の設定はありますが、 ここらへんは場合によりけり好みによりけりでしょう。

EOS 7Dは動画撮影時もシャッター速度や絞りがマニュアル設定できるので、 2フレーム分フレームブレンド状態で映るのを出来るだけ回避すべく、 シャッタースピードは出来るだけ早く、 そして明るさ(露出)は後での色調補正をやりやすくするため、 実際の見た目よりちょっと暗くなる程度に設定しています。

6.編集

コーデックについてはカメラや編集ソフトによって違うので割愛。

曲調等によってはここからぼかし等のエフェクトを入れていく事になると思いますが、 自作の2作品はHD画質と並べる必要があったことから、解像感を下げるような加工は行わず、 色調系の補正のみを行い、そこから乗算・スクリーン等での合成を行っています。

色調に関してはシーンによって異なりますが、 PS3の画像と並べるところでは、PS3側とDS側とで肌色を基準に双方の色調が近くなるように調整しています。

7.おまけ-うちの機材の紹介と画質比較

前述の通り、撮影にはEOS 7Dを使っています。しかし、 やっぱ高いカメラは画質いいなぁ と思うのはまだ早い。 というわけで、Xperia pro、IXY Digital 220IS、EOS 7D + SIGMA 17-70mmF2.8-4 DC OS MACRO HSMの3機種で 撮った動画(全て720p)のスクショです。 だいたいフレーム横幅9割にDS画面合わせてUPカメラ撮ったものから640×360を等倍で切り出したもの。

Xperia
Sony Ericsson Xperia pro

2011年発売のスライド式QWERTYキーボード付きのXperia。 実は国内未発売機種でまあごにょごにょなわけですが、 カメラ機能そのものは810万画素の裏面照射型CMOSで、 Xperia arc/acro/rayあたりと同等。

これだけ前述の動画モード時のピント合わせの癖と、 スマホ用の三脚持ってなくて手持ち撮影のため、若干小さめ。 画質もその分差し引いて考えてあげるべきなのでしょうが、 その必要がないくらいちゃんと映っています。今時のスマホ恐るべし。 ただ、記録ビットレートが低いので特に髪あたりにその影響が見て取れます。

IXY Digital
Canon IXY Digital 220IS

2009年発売の1/2.3型1210万画素CCD搭載の薄型コンパクトデジカメ。 絞り優先AEやらMFやらが使えたりするわけでもない普通のコンデジです。 一眼レフやDP2など無駄に目立つカメラが使えない時用w スタイリッシュさとカメラとしての落ち着きを兼ね備えた感じのデザインが好き。

動画の方は微妙にピント外したのか、 また高感度ノイズの影響を受けているのもあってか、 若干解像感低めですがちょっとシャープフィルタかけてやるだけでだいぶよくなりそう。 このへんは露出が若干他に比べて高めのせいもあると思います。 逆に色の出方はそのままでもいいですね。 最近の裏面照射型CMOS機だともっとこの手の撮影は得意なのだろうなぁ。

EOS 7D
Canon EOS 7D + SIGMA 17-70mm DC OS MACRO HSM

2009年発売のAPS-Cサイズ1800万画素CMOS搭載の一眼レフ。 すでに登場から2年半が経過してたり、 フルサイズスキーの方々からは中途半端扱いされたりもしますが、 フルサイズ対応の純正Lレンズ(特に望遠レンズ)なんぞ高くて買えんわ!という私の様な人間には、 新製品に目移りしなくて済む程度にはいい機種です。

レンズはSIGMA 17-70mmの手ブレ補正付きの新型。ちなみに旧型も持ってます。 銀塩時代はNewFD35mm-105mmF3.5を使っていたこともあって、 APS-Cでのこの焦点距離とこの明るさは丁度いい感じなのです。 純正の15-85mmもいいレンズだけど高いし!寄れないし!

動画の方は露出かなり下げてるのと、 色調設定をニュートラル方向に設定しているんで色は地味ですが、 記録ビットレートが高いこともあって、 解像感で言えば3機種中で1番いいのはさすがといった所。

8.最後に

長々と説明してしまいましたが、 要約すると「そんなに特殊な機材使わなくても最近のカメラは意外と撮れる」という事でしょうか。 ここ数年でHDキャプチャ環境も手頃になりましたが、HD撮影環境も手頃になってるんだなぁと。

コメント

折角なので色々と。
(と言うかレンズどころか三脚まで同じでした・・・)

・DSi
走査線見えないのは知らなかった・・・。
初代DSとDS Liteだとスペックが足りず、アイマスDSのダンス映像は一部処理落ちで15fpsになります(ポケモンBWやっててもそうでした)。
あと、DSは256×192ですが、3DSは320×240なので、DSのソフトを3DSに差すと拡大処理表示されます(モニターの一部だけ使って元の解像度で表示するコマンドもありますが当然小さいです)。なのでベストはやはりDSi。

・60fps
僕が以前考えた机上論なのですが・・・。
この手の映像はデジカメの直撮りだとコマごとの残像が映るのですが、DSのダンスは30fpsなので、60fpsで撮った後に上手い具合に30に落とすと、残像のないコマだけで素材が構成できる・・・かもしれません。
もっとも、直撮り素材は残像が映像のデータ感を打ち消してるので、成功しても結果が微妙かもしれませんが。

・ピント
画面のグリッドが写り混むのを消すためにピンボケさせるって手法もあります。
これは僕がモアレ回避でやってますが、くらわんPの素材もこれだったみたいです(ビデオカメラらしい)。
けど、なかなPの動画を見ると動画の解像度+記録サイズを上げて、押しきるって選択肢もあるんですよね・・・。
こうして見ると、これってローパスフィルターの代わりみたいな手法だったのかも。

・ちなみに
ホワイトバランスもしかして無調整です?僕は常時曇天orマニュアルWBですが。
オートなら7D恐るべし。

ペンタ

:ペンタさん
どうもですー。

>60fpsで撮った後に上手い具合に30に落とすと、
>残像のないコマだけで素材が構成できる・・・かもしれません。

これは実際そうです。しかも、奇数フレーム素材と偶数フレーム素材2本作って
使い分けるだけなので簡単に出来るはず。
あと、本文にも書いてますが7Dみたいにシャッタースピードなり感度なりを
マニュアル設定で上げれる機種なら、30fps撮影でも何度か撮れば
それなりに残像抑えたシーンだけで構成する事は可能だと思います。

ペンタさんも書かれている通り効果の程は
視聴者目線から見て決定的ではないよなぁ……とは思いますが、
効果自体はあるので究極を目指すならありだと思います。

#自分は8fpsや10fpsのPV作っちゃう人なのでそこらへん割とアバウトですw

ただMADで速度変更を伴なう場合は60fps素材そのまま使うか、
残像なし30fps素材にしてから使うかはケースバイケースかなぁと。

#実はDazzling Worldは限界を見せる意味で60fpsでのうpも一瞬考えてました。
 30fpsでプロジェクト作ちゃってたのと、
 864x486で60fpsはさすがにかなり重くなりそうなのでやめましたがw

>・ピント
「せっかくの画面直撮りなんだから液晶の格子含めて情報として扱えばいいやん」
一言で言うとそういう考えでしたw そうする事でHDの素材として昇華するのかなと。

そこら辺は640×480pixel16色でドット打ちしてた経験やら
DP1、DP2sというローパスフィルタレスのデジカメ使ってる経験が影響しているかもしれませんw

ただ作品の雰囲気的に格子消したい場合も
編集時にぼかしフィルタかければある程度は対応可能でかつ
効果もあとで調整できるので、素材としては画質を優先すると思います。

#特に一眼でマクロ撮る場合は、ピントがシビアになるので、
 そういう細かい調整が面倒なのもぼかしは後処理でやりたい理由の一つ。

>ホワイトバランス
オートですねー。
色調は後で調整するのが前提だった&実際撮ってそれほど支障なかったので。
もっとも、ここらへんはステージによっても変わってくる可能性あると思いますが。
ちなみにIXYやXperiaについてもこの記事では全部オートで撮ってます。

なかな(Koshishin)

コメントを書く