小説感想:継母の連れ子が元カノだった

今回のラノベ感想は紙城境介さんの「継母の連れ子が元カノだった」です。
TVアニメ化もされたようなので(私はその後のタイミングで読んだので見てませんが)ご存じの方も多いでしょう。

以前、あるラノベの感想を書きたいがためにラノベ感想エントリを始めたという事を書きましたが、そのラノベが実はこの作品です。
早い話、それだけ私の琴線に触れたというわけなのですが、 私の文章力で致命的なネタバレなしにその魅力が表現できるかというとたぶん出来ないのですよね。まあ仕方ないんですが。

そんな駄文ですが、興味のある方はお付き合いいただければ幸いです。


シチュエーションは本当タイトルの通りで、主人公の水斗とヒロインの結女がお互いに「きょうだい」と「元恋人同士」との間で揺れつつ進む様を周りのキャラ達の恋模様と合わせて描いています。

で、まず自分がこの作品が好きなポイントは3つ。
まず、1つ目はラブコメとしてスルスルと読める軽さとこのシチュエーションが持つシリアス面を両立して消化している点。
シチュエーションが単なるシチュエーションや事件のきっかけに終わっていないのです。

2つ目がエスプリの効いた言葉選び。
それがまた決め言葉的に出てくるのが良いんです。 基本各キャラの一人称で進む話の中でこれが出てくるので、それがまたキャラのかっこよさにもなっている。

で、3つ目がロジカルと感情のバランス。
基本的にはラブコメらしく恋愛感情に振り回されたりするわけですが、 大事な所ではその感情をも含めて、ロジカルにパズルのピースを嵌めていく如く文章が進んで行くのです。これが爽快。
それはもうミステリのトリックを暴くが如く……というか、そもそもこの作者の方はミステリーも書く方なんですが。

その様はラノベとは言え超高校生的でもありますが、それでもやっぱり高校生的な青臭さもあり、そのバランスも絶妙。
また、水斗と結女の趣味は読書であり、その中でもミステリーが共通の好みのジャンルという点でも説得力を持たせています。

まあ、難しいこと抜きにしても私にとって ロジカルな話が通じて、かっこよくて、人間味もある女の子とか良いに決まっている わけです。

ちなみにここまで上げた良さが全部詰まっているのが4巻です。 私の祖父もまたシベリア抑留されていたという個人的事情もあるにせよ、この4巻で完全にハマりました。

そしてその後のいさなと覚醒と結女の環境の変化には同時進行の話の変化にややついていくのが大変な所もありましたが、 それもまた9巻で再びピースが嵌っていくさまが爽快に書かれていて本当に気持ち良いなあと。

もうすぐ10巻が発売されるという分量のあるシリーズですが、おすすめです。
紙の本でも欲しくなっていますが、置き場ないんだよな……

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