EOS Kiss Digital N vs EOS 7D

とりあえずEOS 7Dの特性を把握すべくEOS Kiss Digital Nと比較。
もともとKissDNの画質にそれほど不満があったわけでなく、AFや操作性の面で7Dを買ったわけですが、 画質面で4年半前のエントリー機と最新ハイアマ機の差は如何程のものか。 あくまで自分用の多少偏った比較ですが、 雑誌類のレビューだと50Dとか同世代ライバルとの比較が多くて、 この世代(20Dや30Dを含む)との比較はあまり多くはないと思うので参考までに掲載してみます。

ちなみに今回の条件はレンズはSIGMA 17-70mmF2.8-4.5DC MACROの広角端。絞りはF8。 夕方の光線状態の変化の激しい時間なので露出やWBの差については無視してあげてください。
シャープネスについてはKDNのパラメータは-2~+2の範囲での±0(現像パラメータ:パラメータ2)、 7Dは0~7の範囲での3(ピクチャースタイル:スタンダード)。 実はKDNの出荷時標準はシャープネスが+1に設定されているパラメータ1ですが、 自分がパラメータ2で使っていたんで今回はこちらで比較。 もっとも、KDNと7D、双方調整範囲の真ん中付近になるので、 そう不公平な設定でもないかと。
あとは掲載画像はJPEG(ファイン)で特記ない限り中心部をピクセル等倍のままトリミング。 ただし、JPEG再圧縮になるので元のJPEG画質より劣化している点はご了承ください。

この先、画像だらけで重いので覚悟できた方のみどうぞ。


とりあえず、800万画素vs1800万画素vs800万画素

4年半の差がスペックの数字上もっとも出ているのはここであろうかと。
もっとも数字では2倍以上の差があるけど言い方変えれば所詮縦1.5倍×横1.5倍なんですよね。 そういう意味では過度の期待は禁物です。 とりあえず、全体を縮小して載せてもわからないレベルなので(苦笑)、 中心部付近をピクセル等倍のままトリミングして掲載します。

EOS KissDN ISO100 L
EOS 7D ISO100 L

ISO100でのピクセル等倍比較。KissDN、7Dの順。 ベランダの柵やタイル・スレートの目地を見れば 7Dにそれなりのアドバンテージがある事がわかります。
ただ、この辺はシャープネスのパラメーターによって大きく変わるところではあるんで、 JPEG撮って出しで使う人は自分の好みを探っていただけるとまた違う結果が見えるかと。 あとはもしかするとAF精度も影響している可能性がありますね。
ちなみに前日にKissDNが0ではなく±0というのを忘れてて、 7DをAll'0'のの忠実設定で撮って、あまりの輪郭の甘さっぷりに卒倒しそうになりました(苦笑)。

ただまあ、上の比較だとピクセル等倍だと対象の大きさが変わるので比較しにくい・・・。 あるいは「画質が良くても1800万画素なんてファイルサイズでかすぎるんだよ!」という方もいるでしょう。 そんな方には次の画像をどうぞ。

EOS 7D ISO100 M

7DのJPEG Mサイズ(800万画素)。 さすがにベランダの柵の描写等はLサイズに譲るものの、 全体的な印象はLサイズにも劣らず、KissDNとの比較だとその差が歴然。 ちなみにシャープネスのかけ方の問題か Lサイズを単純にソフトで縮小したものと比べてもほんのちょっぴりシャープです。 EOS 50DでsRAW1やsRAW2の方が画質がいいという話をちらほら見ますが、 整数分の1ではない7DのJPEGのMやSでもどうやら似たような効能はあるようです。 オーバーサンプリング恐るべし。

400万画素頂上決戦?

EOS KissDN ISO100 M
EOS 7D ISO100 S
DP1 ISO100 RAW

縮小して画質良くなる?・・・よろしい。それなら「あれ」を出そう。 というわけでKissDNのMサイズ(420万画素)、7DのSサイズ(450万画素)、DP1のRAW現像(470万画素)。 果たして4倍の画素数を手に入れたベイヤー配列はFOVEON X3の解像感に迫れるのか。
結果はというと、条件的に有利(画素数・RAW現像・単焦点レンズ)とはいえ、 さすがにここはDP1の解像感すげぇと言える内容。 人工物については7DもDP1に匹敵しているけど木を見るとやはりDP1が上かなと思えます。 7DがLレンズとかならまた違った結果になったかも?と思えるほど拮抗してきている感じはします。 あとKissDNは7Dと違ってMサイズでもあまり画質は上がらない印象。 もしかしたらKissDNはシャープネス1段上げてあげた方がよかったかもしれません。

高感度対決

KissDNの強みといえば高感度。 Kiss系もKissX3で常用感度がISO3200に上がったけど、どちらかというとDIGICのノイズ低減処理の賜物で、 素の高感度特性としては最近の機種でも大きな差はないという認識。 ところが7Dは常用感度ISO6400まで。 しかもDIGICのノイズ低減処理は常用上限ISO3200のEOS 50Dと一緒らしい ・・・ということは素の高感度特性も上がっているのか?ということでチェック。

EOS KissDN ISO1600 M
EOS 7D ISO1600 L
EOS 7D ISO1600 M
EOS 7D ISO3200 M

ISO1600でKissDN ISO1600(Lサイズ)、7D ISO1600(Lサイズ)、7D ISO1600(Mサイズ)、7D ISO3200(Mサイズ)の順。 7Dの高感度撮影時のノイズ低減はOFF。(KissDNには高感度撮影時のノイズ低減はないです。)
7DのLサイズ見てるとそんなにKissDNと比べて大きなアドバンテージはない様にも見えるのですが、 800万画素同士で改めて比較すると7DのISO3200がKissDNのIS1600と同等といってもいい所まで がんばっている感じ。 発色の点で感度上げても大崩れしないおかげで、 画面全体で見れば細かいノイズはセンサーの画素数である程度押し切れる感じですかね。 今回は試していませんが、7Dなら解像感はトレードオフになりますがノイズ低減をONにするという選択肢もあります。

EOS 7D ISO6400 M
EOS 7D ISO12800 M

さらに7DのMサイズでISO6400とISO12800。 さすがにノイズ低減OFFではISO6400以上は急激にノイズが増えだす感じ。 ただ、blogで縮小して使う分にはISO12800でもこの通り。

EOS 7D ISO12800 L(縮小)

こうして見るとEOS 7Dは「意外と画素数で押し切れるもんだ」と。 1画素あたりでいえば決してKissDNも7Dに負けていないと思うんですが、 トータルで見ると高感度特性含めて7Dが画素数分のアドバンテージがあると。

コメント

突然の書き込みお許しください。オーバーサンプリングという概念は写真関係では余り認知されていない様ですが、ネット掲示板の高画素論争を見ていて、このキーワードが浮かびました。それで検索して貴兄のこのテストがヒットしたのです。掲載された画像の細かい所まで反芻していませんが、良いテストをされていると思います。「画素数で押し切」と表現されていますが、なるほどと思いました。

Ataron

>Ataronさん
書き込みありがとうございます。
オーバーサンプリング・・・たしかにあまり認知されていないかもしれません。最近はsRAWの話がちらほらレビュー記事に出たりすることがありますが、JPEGではあまりみませんし・・・。個人的にはベイヤー配列は4画素=1pixelが正しい姿なんじゃないの?と思ったりもするのですが。

とりあえず素人比較ですが、KDNと7Dの画像を並べたことで、「800万画素で十分だよ」「最近のキャノンの機種の高感度改善なんてノイズ低減処理でしょ・・・」という人(というか自分)に判断材料や7Dを800万画素機として使うという方法を提示できればなとは思います。

Koshishin

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