小説感想:恋人以上のことを、彼女じゃない君と。

今回の感想は持崎湯葉さんの「恋人以上のことを、彼女じゃない君と。」


電子書籍サイトの「あなたへのおすすめ」や「この本を買った人はこんな本買ってるよ」的なやつでラノベを買ってたら、 物の見事にヒロインが高校生・学生か芸能人のラブコメものだらけに。

そうなると語彙力の少ない私だとそれぞれの個性を伝えられる感想書くのも困るわけですが、この本は恋愛物でも男女双方会社員。 それだけでおーっとなるわけです。

元カノの糸と再会を機に恋とか面倒なことは抜きで一緒に呑んだりエッチしたりするというお話。
帯や説明文の「たのしくて・気を遣わない・ラフな関係」という文言に集約される通りの関係です。

だったら単なるセフレかというとそうじゃないんですよ。それありきではなく、親友の延長線上にたまたまそれ「も」あると言えば良いのでしょうか。
一緒にいるとドキドキしてするような恋愛は良いものですが、一緒にいることがある意味当たり前で駆け引きもいらない関係はそれはそれで憧れるものです。
あらすじには「不思議な関係」とあるけど、自分の周りの経験とか考えると、普通にあると思いますよこういう関係。

で、実際、その関係に対する解像度が高くて良い。
元カノという所もそうだし、二人が大人で青春という程のパワーはないというあたりもそう。

そしてなにより二人の会話の言葉のセンスとテンポが素晴らしい。
お話として出来事はきちんと起きてお話の緩急や変化はあるのですが、 それを抜きにしても二人の会話が良い。
昔、ニコマスの感想でも書きましたが 「なんでもない事を描ける。空気が描ける」 って凄いと思うし、大好きなんですよね。

この先波乱はありそうな感じもありますが、この空気感は続いてほしい所。
とにかく面白い本を読めました。

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